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29 . April
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18 . November
りゆさんのところの創作っ子とのコラボ小説。この時期なのに何故か海話。




 白い砂浜。透き通った青い海。晴れ渡る空には雲ひとつなく、太陽がギラギラと燃えていた。
砂浜には色とりどりのパラソルが咲いている。

そう、ここは生足魅惑のマーメイドが戯れる、真夏のビーチ。
夏は、海は、人を解放的にする。

――むろん、この男も例外ではない。

 「いやー、やっぱり海はいいよね。水着の美女がわんさかいるよ」

 イーヴィルは、サングラス越しに辺りをぐるりと見回すと、好みの女の子がいないか物色し始める。

 「ちょっと、みっともない真似はやめてくださいよ」

 クーラーボックスを脇に抱えたライトが軽蔑するような眼差しで自分の主を見つめる。

「ハァ?何がみっともない真似だって?海でナンパしないで何をするっていうんだよ!?
 逆に海に失礼ってもんだよ、それは!?」

息を荒くしてそう言うイーヴィルの目は真夏の太陽に負けないほどメラメラと燃えていた。

「いや、私たちはこの辺の海域に出没する魔物を倒しに来たんでしょう。本来の目的を忘れてどうするんですか」

 そう、二人はこの海辺の街の町長に、海で人に悪さをする魔物を退治して欲しいとの依頼を受けていた。
魔物のせいでビーチを訪れる人は先月よりも三割ほど減っており、
稼ぎ時のこの時にこれは辛いと泣きつかれて渋々承諾したのであった。

「バッカだな、お前。魔物退治はついでだよ、ついで。
 さーてと、それじゃあ僕は早速ナンパしに行ってくるから荷物番よろしく!」

 イーヴィルは一瞬にして黒いブーメランの水着に着替えると、そのままいつものサンダルで駆けていった。
取り残されたライトはシートを広げ、せっせとパラソルを組み立てる。
イーヴィル様の気が済むまで昼寝でもして時間を潰すかと、シートの上に寝転がった。
心地よい雑音の中でまどろんでいると、スピーカーで拡張された声によって眠気は引っ込んでいった。

「はいはいー!二時から男女ペアのビーチバレー大会を始めるよー!
 なんと優勝者にはこの街名物、イカ墨アイス一年分プレゼントッ!!
 参加費用は無料!どなたもお気軽にご参加くださいー!」

 甲高い男の声が何度もその言葉を繰り返す。
イカ墨という部分が気になるところではあったが、
甘味好きのライトとしてはその後に続くアイスという言葉に惹かれるものがあった。

 「しかし、男女ペアか」

 初めて来たこの街に知り合いがいるわけもなく、
参加するためには先ほどみっともないと言ったナンパというものをしなければならない。
ライトの心は揺れていた。アイスか、プライドか。
 そんな時、視界の端に知った顔の女性の姿が映った。これは好機とライトは立ち上がる。

 「どうも、セリアさん。こんなところで会うとは奇遇ですね」
 「ライト!?」

 声をかけられた長い青髪の女性は目を見開いてライトを見上げた。
その女性、セリアはこの場にはそぐわない全く露出のない衣服に、サングラスという奇抜な出で立ちであった。
ライトとしてはどうしてここに?など色々聞きたいこともあったが、
セリアが人にあまり詮索されるのを好むタイプではないことを知っていたので、必要最低限の質問に絞った。

 「今、お一人ですか?」
 「え、ええ。そうだけど、わたしに何か用かしら?」

 ライトは手持ちの拡声器を持ってその辺を行ったり来たりしている男を指差した。

 「あれに、一緒に参加してみませんか?」

 セリアはライトが指差したものを見て、目に見えて分かるほど渋い顔をした。
男が首から下げたプラカードには「ドキドキ★メラメラ ビーチバレー男女タッグ大会」とポップな文字で書かれていた。

 「貴方でもああいう俗っぽいことに興味を持ったりするのね」

 子どもみたい、と呆れ顔でセリアは言った。

 「そうですね。でもたまにはこういうのもいいじゃないですか。気晴らしにもなると思いますよ」

 ライト自身こういった遊びに参加するのはらしくないと思っていた。
だが、何故か優勝賞品のことを抜いても、この見るからに下らないお遊びに興じるのも悪くないと思うようになっていた。

 真夏の海の魔力とは恐ろしい。

 「それで、どうでしょうか?」

 セリアはサングラスの下の瞳を閉じ、なにやら考えている様子だった。
今、彼女の頭の中では激しい葛藤が起こっているのだろう。
即断られなかったのを見てライトは、これはいけると思い後押しをするように言葉を付け加えた。

 「そうですね、何の見返りもなしというのでは気も乗りませんよね。
  一緒に参加してくだされば、こちらの世界の恋愛小説でもお渡ししようかと思うのですが」

 その言葉を聞いた途端、セリアの目ががっと開いた。
すると過剰に反応してしまったことを恥じたのか、さっと瞳を海の方へと向け、落ち着かない様子を見せる。
それから少し間をおいて、咳払いをしてから口を開いた。

 「仕方ないわね、参加してあげるわよ。でも物に釣られたわけじゃないからね。
  あなたのいう通り、たまにはこういうのも悪くないと思ったからよ」

 こちらを見ようとせずに早口でそう言う彼女を見てライトは小さく笑った。

 「分かりました。では、そういうことにしておきましょうか」
 「そういうことって……」
 「はいはい、それじゃあ行きましょうか」

 軽く受け流すとライトはセリアを連れ、大会受け付けへと向かった。
長細い机の上に参加署名の用紙とペンが置かれており、ペンを取ろうとした時、受け付けの女性に待ったをかけられた。

 「すみません、この大会は水着でのみ参加OKとなっているのですが、その点は大丈夫でしょうか?」
 「えっ、そうなんですか」

 ライトはセリアの方を振り返った。

 「セリアさん水着、持ってきてます?」

 セリアは首を横に振った。折角ここまでこぎつけたというのにこんな問題が出てくるとは、とライトは頭を抱えた。
というか、そもそも自分も水着など持っていなかった。
ポケットから懐中時計を取り出すと丁度一時を回ったところだった。大会開始の時刻まではまだ時間がある。

 「買いに行きましょう」
 「えっ?」

 予想だにしていなかったライトの提案にセリアは目を丸くした。

 「何もそこまでしなくても……」
 「いいじゃないですか、折角なんですし。水着は私からプレゼントしますよ」

 そう言ってライトはニッコリと笑う。

 「あなたってそんなキャラだったかしら」
 「私は一体どんな風に見られているんですかね。周りが思っているほど堅物ではないですよ?それに」
 「それに?」

 ライトは水をかけ合ってきゃっきゃとはしゃぐ子どもたちの方へと視線を向けた。

 「私、こうやって娯楽目的で海にいるのって初めてなんですよ。
  だから、ちょっと浮かれているのかもしれません。あ、本当は今日も元々は仕事で来ていたんですけどね」

 そう言って苦笑いするライトの横顔を見つめていたセリアは、彼の視線を追った。

 「……そうね、私もだわ」

 その言葉を聞いて、ライトは再びセリアへと向き合う。

 「なら、なおさら。今日は煩わしいことは全部忘れて楽しみましょう」

 そう言うとライトはセリアの返事を待たずに、彼女を最寄りのブティックへと引っ張っていった。

 

 観光地らしく洒落た雰囲気の店内には、様々な年齢層の客が買い物を楽しんでいた。
二人は目的の品が並ぶ一画へと足を向ける。海辺近くの店ということもあって、水着のコーナーは充実していた。

 「それでは、欲しいものが決まったら声をかけてくださいね」

 セリアにそう一言告げると、自分のものを選びに男性ものコーナーへと足を向けようとした。
その時、彼女から意外な言葉がかけられた。

 「あら、あなたが選んでくれるのではないの?」

 今まで振り回されたお返しよ、とでもいうようにセリアは悪戯っぽく笑った。

 「ええっ!?わ、私がですか!?」

 全くそんなことを考えていなかったライトは顔を赤くしたり青くしたりしてあからさまに狼狽した様子をみせた。

 「プレゼントしてくれるって言ったじゃない」
 「それは、金銭的な面でという意味でして……。弱りましたね、こういうのはあまり得意ではないのですが」

 サングラス越しにじっと見つめてくるセリアにライトはついに折れた。

 「……分かりました。善処します」

 何事もやるなら完璧に、がモットーのライトは店内にびっしりと並ぶ水着を真剣な顔つきで物色し始める。
単に水着といっても様々なタイプのものがあり、ライトの頭を悩ませた。

 「うーん、やはりこれから戦に赴くわけですし、防御力を重視して布面積が多いものの方がいいですよね。
  これなんかどうです?」

 ライトが手に取ったのはダイバーなどが着る、首から足元まで全身をぴったりと覆う黒のウェットスーツだった。

 「あの……、戦って?」

 セリアが引き気味に尋ねる。

 「試合といえば戦も同然でしょう。いかにお遊びといえど勝つと決めたからには、万全の対策をすべきです」

 真顔でそう力説するライトにセリアは心中でため息をついた。女心がわかっていない。それに――

 「ビーチバレーは砂浜でやるものよ。水に潜りもしないのにそんな格好をしていたら暑いじゃない」

 そう言われてライトはハッとする。

 「あぁ、そうでしたね。すみません、私普段は魔法で周囲の温度を調節しているので寒暖には疎くて」

 その言葉で、どうしてあんな暑いビーチで馬鹿みたいな厚着をしていたのに、
汗ひとつ掻いていなかったのか理解した。

 「魔法、解いたら?」
 「え?」
 「肌に感じる熱さも夏の楽しみの一つだと言うわよ」

 ライトは面を食らったようにぽかんと口を開けた。

 「なに?言いたいことがあるならはっきり言ったら?」
 「いえ、なんだかセリアさんがそんなことを言うとは意外だなぁと思って」

 セリアは目を細めてはぁと息を吐いた。

 「あなたの方こそ私をどういう風に見ているのかしらね」
 「まあまあ、それではお互い様ということで」

 さらっと流すとライトは再び色とりどりの水着と睨めっこをし始めた。
いたって真面目な顔つきで水着選びに専念するライトをセリアは後ろから複雑な心境で見つめていた。

 「まったく、こんなところで何をやっているのかしらね、わたしは……」

 ひとり自嘲するように笑う。

 「セリアさん!こちらはどうでしょうか?」

 ライトが次に選んだのはワンピースタイプのものだった。ライトが手に取ったその水着を上から下へと見つめる。
黒地に白い水玉柄で胸元にはリボンがあしらわれており、腰部分はフリル地のスカートになっている。

 「少し子どもっぽいでしょうか?でもやはり、上と下が分かれているものは身を守るには心許ないと言いますか」

 と、また防御面についてのことをぺらぺらと喋り始めた。セリアは気づかれないように小さく嘆息をもらした。

 「いいわ、これで」

 それを聞くとライトの表情がパァと明るくなる。

 「そうですか、よかった!セリアさんって黒色のイメージがありますし、
  それにこういう可愛いの絶対似合うと思ってたんですよね」
 「そ、そうかしら?」

 自分が可愛い系のタイプだと思っていなかったセリアはそのライトの言葉に少しだけ頬を熱くした。ライトは大きく頷く。

 「そうですよ。それでは、自分のものを選んできますのでちょっと待っていて下さいね」

 そう言って背を向けたライトをセリアは呼び止める。

 「ちょっと待って」

 その声にライトは振り返り首を傾げた。

 「どうしました?」
 「わたしがあなたのを選ぶわ」




 買い物を終えて再びビーチへと戻ってきた二人は、先ほど買った水着に着替え、大会へのエントリーを済ませた。
上は白いパーカー、下は膝近くまである紺青色の水着という出で立ちとなったライトは額に浮かぶ汗を手の甲で拭った。

 「それにしても、こんなに暑かったとは。よく皆さん平気でいられますね」

 セリアの提案通り、自らにかけた魔法を解いたライトは久しぶりに味わう自然の暑さに苦い笑みを浮かべていた。

 「ちょっと、大丈夫?試合前からそんな調子じゃ……」
 「いえ、問題ありません。イーヴィル様の魔法で火だるまにされたのに比べらこんなのどうということはないですよ」

 そんなの比べるようなことでは……、とセリアは言いかけたがその言葉は飲み込み、別の質問をぶつけた。

 「彼も来ているの?」

 ライトと一緒によく姿を見かけた黒髪の青年の姿を思い出す。

 「ええ。多分この近くにいると」

 そうライトが言いかけたところで噂をすれば何とやら、聞き覚えのある声が真正面からしてきた。

 「よう、ライトくん。お前、ナンパなんてみっともないとか言ってたくせにちゃっかり女の子連れてんじゃん。
  しかも水着にまで着替えてサ」

 にやにやと嫌らしい笑みを浮かべて近づいてくるイーヴィルに対してライトは冷静に言い返す。

 「失敬な。ナンパなどではありませんよ。知人がいたので声をかけただけです」
 「知人?」

 イーヴィルは自分に対して背を向けている青髪の女性の正面へと回り込み顔を覗いた。

 「あっ、セリアさん!」
 「……どうも」

セリアは小さく頭を下げた。

 「いやぁ、お久しぶりですね。相変わらずお綺麗だ。キミのその太陽よりも光輝く美貌、
  このサングラス越しでも眩しいですよ。その水着もよくお似合いです。
  いや、セリアさんならどんなものでも着こなしちゃうんでしょうけどね」

 と、身振り手振りを交えながら大絶賛していたイーヴィルはハッとして一旦口を止めた。

 「おっと、いけない。人を待たせているんだった。それじゃあ、セリアさん僕はこれで」

 イーヴィルは両手に持ったドリンクをこぼさないようにしながら、恐ろしいほどのスピードで二人の元を去っていった。

 「相変わらず嵐のような人ね」
 「ええ……。一緒にいると疲れますよ」

 やれやれとライトは肩を竦めた。しかし待ち人といい、手に持っていた二つのドリンクといい、
ちゃんとナンパに成功したのだろうか、と思いながらライトは主の背を見送った。


 「皆さんお待ちかね!男と女!水着でワッショイ★ビーチバレー大会の始まりですよー!!」

 そんな名前だったか?というような大会名を司会の男が大声で叫び、ついにビーチバレー大会が幕を開けた。
ライトが想像していたよりも大規模な大会で最初はAブロックとBブロックの二つに分かれ、
それぞれのブロックを制した二チームで決勝が行われる。

 「えーと、私たちはBブロックで初戦は二試合目のようですね」

 ライトは大会運営係からもらったトーナメント表を見て言った。
トーナメント表にはそれぞれ参加者が自分で決めたチーム名が記されている。

 「わたしにも見せてもらえるかしら」
 「ええ、もちろん」

 ライトは手に持ったトーナメント表をセリアへと手渡した。
どうせチーム名を見ても何も分からないが、一応対戦チームの名前くらいは知っておいてもいいだろう、
とトーナメント表に目を走らせた。二試合目は、とそこで視線が止まった。
書かれたチーム名は二つ。常夏ファイターズとムチムチームだ。
受け付けの時にセリアが何でもいいと言うと、それじゃあ適当に決めときますねーとライトが言ったのを思い出した。

 「常夏ファイターズって。あなた、もうちょっと捻った名前はなかったのかしら」

 咎めるようにじっと見つめるとライトは不思議そうな顔をして言った。

 「えっ?そっちじゃないですよ」
 「えっ?」

 常夏ファイターズの方でないとするとそれは――

 「はい、ムチムチの方です!」

 と一切曇りのない笑顔で言い放った。真夏だというのに、一瞬セリアは氷ついた。

 「ど、どういうことなの?」
 「私もセリアさんも鞭使いでしょう?つまり鞭が二本でムチムチ。
  あとはチームにかけて、ムチムチームですよ!どうです、中々いい感じじゃありません?」

 と、ふざけたことを抜かすチームの相方をセリアはそれこそ鞭でしばきたくなったという。

 「こんな恥ずかしい名前……」

 セリアは肩を震わせる。しかし、もう決まってしまったものは仕方がないと腹を括ることにした。
そんなふざけたチーム名ながらも、元から身体能力の高い二人はビーチバレーでもそれを発揮し、順調に勝ち進んでいった。
 
 そして、いよいよ決勝。AブロックとBブロックは離れた場所で行われており、
決勝の対戦相手の情報は今のところチーム名くらいしか入ってきていない。

 「天使と王子様、ですか。何だか浮ついた名前ですね」

 ライトはメロンフロートのアイスをつつきながら、大会ボードに書かれた名前を見て言った。

 「それでもわたしたちよりはマシな名前だと思うわよ。それにしても」

 セリアは自分でもよく分からないがなんとなく嫌なものを感じていた。ぶるりと身震いする。
ブロックの決勝戦の後15分の休憩をおき、ついに大会総合の決勝戦が始まる。
 決勝ということもあって、砂の上に作られたコートの周りにはたくさんのギャラリーが押し寄せていた。


 「さぁ、いよいよ残すところ最後の一試合のみ!
  多くの猛者どもを蹴散らして勝ち残ったのはこの二チームだあぁ!!」

 司会のキンキンとうるさい紹介とともに、決勝に残った二チームのメンバーがコートに姿を現す。
ライトは人ごみを掻き分け現れた対戦相手の二人を見てぎょっとした。

 「イーヴィル様!?それにエリシオさん!」

 そう決勝の相手はその二人であった。

 「何だよ、ムチムチームってお前かよ。っていうか、いくらセリアさんのスタイルがそんな感じだからって、
  お前それセクハラだぞ!」

 「え、いや、そういう意味じゃ」

 ライトがそう言いかけた時、イーヴィルの傍らにいた少女、エリシオが驚いたようにして声をあげた。

 「えっ、セリアさん!?」

 セリアはバツが悪そうにエリシオから顔を逸らした。

 「今は何も言うことはないわ」
 「セリアさん……」

 エリシオは何か声をかけたいと思いつつも言葉が出ず困ったような顔を見せた。
おどおどとするエリシオの姿をセリアはちらりと見て、何ともいえない気持ちになった。

 「……でもそうね、一つ言うことがあるとしたら」

 一呼吸してからセリアは薄く笑った。

 「勝ちは譲らないわよ」

 そんなセリアを見てエリシオはほっとしたような表情を見せた。

 「う、うん!私も負けないよ!」
 「よく言ったね、エリシオさん!そういうわけだから、セリアさんには悪いけど優勝は僕らが頂くよ」

 ビシッと指をライトたちに向けて、イーヴィルは堂々と言い放った。

 「ハッ、それはこちらのセリフですよ。優勝賞品のイカ墨アイスは私たちのものです」

 ネットを挟んだイーヴィルとライトの間にバチバチと火花が散る。比喩表現ではなくて。

 「それでは、ビーチバレー大会決勝戦!レディー、ファイッ!!」


 決勝戦開始のゴングが鳴り響いた。燃える太陽の下、果てしない死闘の幕が切って落とされる。



 後編に続く
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